あらすじ
「女の細腕で、その化け物を御せると思うな」JRA競馬学校を卒業して4年。女性騎手・藤瀬葵(ふじせ あおい)を待っていたのは、「客寄せパンダ」としての冷遇と、男社会の厚い偏見だった。まともな騎乗依頼すらもらえず、雨のトレセンで悔し涙を流す日々。そんな彼女の前に現れたのは、ロマンスグレーの髪を持つ白銀調教師と、一頭のサラブレッドだった。栗毛の巨躯、ハルカゼオー。誰も手が付けられないほどの超気性難から、先輩騎手を次々と病院送りにして殺処分寸前まで追い詰められた「狂気の化け物」。だが、孤独と絶望の中で牙を剥くその馬の瞳は、競馬界の片隅で燻る葵自身の姿そのものだった――。「乗せてください。どんな馬でも、私は走らせてみせます」不遇の少女と、誰も乗せない暴れ馬。どん底にいた二つの命が重なった瞬間、常識を泥まみれにする下克上のファンファーレが鳴り響く!偏見に満ちた国内G1を大外一気でねじ伏せ、過酷な年間リーディングの頂点へ駆け上がり、世界最高峰の舞台・フランスの凱旋門賞で奇跡を起こすまで。これは、一人の干された女性騎手と、殺されかけた一頭の暴れ馬が、世界の頂点へと駆け上がるまでの泥泥の、そして最高のサクセスストーリー。