あらすじ
天と地の神が世界を創生、そしてそれらを24の“天地柱”《コルムナ》がささえる世界――
そのうち十二の天地柱は人の姿を取り、世界の均衡を保つため密かに人々を導いていた。
北陵国《ノルドハイム》辺境の要塞都市、リミナ城塞。
対妖魔特務分隊(通称:道化部隊(ヨルドレイ・パレード)を率いるオルドは、ぶっきらぼうながらも仲間想いの男だった。分隊には、透視に近い遠近感知能力を持つヴィーダ、堅実な盾役ハルヴァル、そして、王都の聖教会から治癒術師ノウェンが派遣され、オルドの分隊に加わる。
当初、オルドはノウェンに対し懐疑的ではあったが、「恩人であるアルヴァルドがいたから今の自分がいる」という言葉に、ノウェンを受け入れていく。オルドもまた、八年前に異能力を暴走させ、瀕死の重傷をおった時に、北陵国の第十一聖区聖教会の総司教、アルヴァルドによって命を救われていたからだ。
ある日、フィリア国第一王子にして第六聖区聖教会の総司教、フェルディナン・フェリクスが城塞へ滞在することになる。やることなすこと軽薄見え、掴みどころのないフェルディナンに振り回されるオルド達だった。
その裏では妖魔に関する不穏な事件が進行していた。北陵国の王都、聖教会研究所で保管されていた妖魔の残骸から、新たな妖魔が孵化した。
それは魚のような異形であり、人間の頭部を喰らうことで知識と感情を取り込み、急速に成長する怪物だった。
さらにその妖魔は、空間だけでなく“時間”さえ泳ぐ能力を持っていたのだ。
妖魔は研究員たちの憎悪や執念を喰らい、やがてオルドへ異常な執着を抱く。リミナ城塞を襲撃したこの妖魔との戦いの最中、オルドの身体は徐々に“薄れ”始める。妖魔が過去へ遡行し、幼い頃のオルドを殺そうとしていたからだ。
真実を知ったノウェンは、ハーコン副総司教と共に虚空を介して時空を超え、八年前へ向かう。
そこで彼らが見たのは、異能の暴走によって部隊を壊滅させてしまった幼少期のオルドの姿だった。暴走した異能に自らも傷つき、死の淵を彷徨う、そんな少年をノウェンは救い、「未来で待っている」と告げる。
一方、ハーコンは妖魔を虚空へ封じ込めるため、自らを犠牲にする。冷徹に見えた彼もまた、アルヴァルドに人生を救われ、その恩に報い続けていた男だった。
元の時間へ戻ったノウェンとオルドは、最後の戦いに挑む。
八年越しの憎悪と因縁を断ち切るため、二人は力を重ね、妖魔を“灰すら残さず”焼き尽くした。
事件後、フェルディナンはアルヴァルドに会うため北陵国の王都へと出立する。
天地柱という世界の真実を知ったオルドだったが、それでも彼は迷わなかった。誰が何者であろうと、自分が守りたいものは変わらないのだから。
仲間たちと共に、再び巡回警備の日常へ戻っていくオルド。
夏空の下、彼らは今日もまた、“すべて世は事もなし”のために、任務に従事するのだった。