あらすじ

夫と別れ、古い十二階建てマンションの七〇六号室へ越してきた女は、管理人から奇妙な忠告を受ける。 「夜の一時から三時までは、エレベーターに乗らない方がいい」 点検かと尋ねる彼女に、管理人はただ「住人の時間です」と答える。 深夜、七階に止まるエレベーター。扉の前に立つ七〇五号室の奥さん。彼女が箱の奥へ差し出していたのは、片耳の取れた古い熊のぬいぐるみだった。 やがて女の部屋にも、白い封筒が届く。    今夜、七階。    持っていられないものをお持ちください。 忘れたい記憶、捨てたはずの写真、胸の奥で硬く乾いた怒り。 このマンションでは、抱えきれないものをいつまでも部屋に置いておけない。 夜ごと開くエレベーターの扉は、救いなのか、それとも回収なのか。 生活の隙間から腐臭が滲む、静かなマンション怪談。

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カクヨム
カクヨム2026/05/18
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