あらすじ
―――二〇一〇年代、頭。
身近な連絡手段は、LINEよりもメールが主流だった頃。
大学では自他共に認める優等生の青年 香川ゆずきは、考え事に行き詰まったストレス発散のためゲームセンターへと向かう。太鼓型のリズムゲームをこなしていると、己のターンなのに勝手にプレイを始める男に遭遇。ユズキはワンゲーム代を奪還するため、パーカー姿の男を追いかけ、大捕物が始まるのだが……?
一方、駅前の寂れた噴水広場。空腹からの死を覚悟したひとりのホームレスは、誰もいない夜へ響く澄んだ鼻歌を耳にする。
『おれ、あんたの声、もっと聴きたい』
掠れた声へ応えるように現れたのは、鋭い瞳を持った美しく寡黙な青年だった。
奇しくも同じ日に引き合わされた、ふたつのふたり。彼らが、後にこの街のローカルアーティストとなる『さよならblossom』の姿なのだ。
一年後、約束された別れを見据えて。ハタチの花よ、何処へゆく。