あらすじ

越後の寺で朱子学の『大学』ばっかり読んでた次男坊・龍若、十四歳で関東管領山内上杉房顕が急逝してまさかの関東管領就任。立派に元服して上杉顕定と名乗るが、家宰の長尾景信が政務を全部やってくれるので、判を押して書物読んでればOK。家臣たちが頭を下げる景色も、悪い気はしなかった。 しかし下野出陣のある日、家臣の発した「対峙」の二字がなぜか頭から離れない。墨が、足りない気がする。『大学』の文字を口の中で動かすと、ようやく世界が静かになる——お屋形様、十七歳にして発症。 その後の四十年、太田道灌が血の涙で書いた長文書状は「忠節の証」として処理され、兄上の自害は「孝の教え」として処理され、扇谷定正の落馬死は「天道の証明」として処理され、家臣たちの直垂の色は「間諜の暗号」として処理される。お屋形様の中では、すべてが一本の美しい線として整っていく。 道灌「忠節を完成させてくださいませ」 顕定「うむ(別解釈)」 関東管領・上杉顕定、四十年の朱子学的世界観形成記。なお現存する彼の花押は、同時代のどの武将のものより、異様に濃く整っている。 -------- 戦国初期のマイナー武将・上杉顕定が非定型ディスコミュニケーションで周囲(主に太田道灌とか)を振り回すだけの小説です。

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小説を読もう2026/05/18
  • 現在の作品お屋形様が異常だった件について〜関東管領、朱子学にハマりすぎて太田道灌の遺言も全然届かなかった話〜