あらすじ
福岡で育った“私”は、誰にも嫌われないように生きてきた。
クラスの空気を読み、噂話に合わせ、普通からはみ出さないように息をする毎日。
地元を出て東京へ行けば、もっと自由になれると思っていた。
けれど、上京しても私は変われなかった。
SNSの通知、地元から届く連絡、誰かにどう思われているのかという不安。
あの町の視線は、遠く離れても身体の奥に残り続けていた。
そんなある日、中学時代にいじめられていた同級生と再会する。
教室の隅で笑われていた彼女は、金髪のギャルになっていた。
他人の目を気にせず、自分の好きな服を着て、大きな声で笑う彼女は、まるで別人だった。
「そんなに人のこと気にして、生きづらくない?」
その言葉に、“普通”として生きてきたはずの私は、初めて息苦しさの正体を知っていく。
これは、地元から逃げたかった二人の、少し遅い青春の話。