あらすじ
間引き人と呼ばれる人々がいた。彼らは一様に欲がない。好奇心がない。他人というものに興味がない。親に売られ、大金と引き換えに罪を背負った。しかし、薬によって自分が罪人ということに気が付けない。
欲がないと人はどうなるか。飯を食べることも、排泄をすることも、寝ることも忘れ、次第にやつれていき、最後には死に至る。
彼らを狙う者、彼らを助けようと翻弄する者、素朴な彼らの言葉に救われる者。冬に行われる花火大会で交錯する。
小説家になろう様に掲載している作品を加筆修正しております。
電撃小説大賞あらすじ
一年前の冬の花火大会で、「間引き人」と呼ばれる世間から嫌われる存在の桐谷(きりたに)は追われていた。同じ花火大会を訪れていた木田(きだ)は桐谷を助けようとしたが、彼女を庇ったことで死に、数日後に後を追って桐谷も自殺する。その二人が死なずに済んだ並行世界の話。
木田は地元に帰ってきており、ATMの前で同級生の鍋島(なべしま)と再会する。一緒に東京へ行き、木田のアパートに居候することになる。一年前に行った冬の花火大会のネットの記事を見て、二人で行くことになる。
第三章から一年前の話になる。
高校生の林は、姉と慕う美(み)湖(こ)が乱暴されたことを聞き、復讐しようと加害者の藤間(ふじま)が勤めるオフィスビルを訪れる。林は企て通りに藤間を刺すが、その直後、オフィスビルが能面のテロリストらに襲われる。銃を乱射し、その部屋の人間は林以外死んだ。林が生きていることに気が付いた能面たちは、死にたくなければ花火大会に訪れる「間引き人」の新津(にいつ)を殺せと命令する。林は新津を殺すことに決める。
その頃、浅見(あさみ)という女が新津を花火大会に行かせるように仕向けていた。
新津は花火大会を訪れるが、地震が起こる。混乱した状況下で新津の姿を見かけたある女は、新津を捕まえる。「間引き人」は、欲を失わせるために薬を打たれている。物事に無関心で興味がない。女は新津に欲を失くす薬を無効化する薬を飲ませようとするが、断られる。
林が新津を殺すか確認に訪れていた能面らが、林が持っている鈴鹿角の存在に気づき争いになる。林は能面たちを倒したが瀕死。林の息が絶えた後、鈴鹿角を林に渡した日和(ひより)は、刀を河川の中へ投げた。
自宅に帰った新津は、浅見に殺される。その後、新津は時空を飛んだ。浅見は「間引き人」になる薬を開発した張本人で、密かにその薬に「心臓が止まる直前に、薬の打たれない並行世界の七十歳にタイムリープする」という効果を紛れ込ませていた。