あらすじ
祖母・高坂千代の葬儀を終えた高校生の湊は、遺品の中から一冊の古い旅ノートを見つける。そこに記されていたのは、尾道駅から駅前桟橋へ向かい、渡船で向島へ渡る、何気ない瀬戸内の旅程だった。祖母の足跡を辿るため尾道を訪れた湊は、ノートの記述が実際の町や船の時刻と奇妙に一致していることに気づく。やがて向島の老人、尾道の宿の女将、瀬戸田で出会った少女・凪との会話を通じて、祖母の旅には十年前のある少女の失踪が関わっていたことが浮かび上がる。観光記録に見えたノートは、本当にただの旅の思い出なのか。尾道から瀬戸田へ、海を渡るたび、祖母が残した嘘の輪郭が少しずつ明らかになっていく。