あらすじ
ノクターナ侯爵家の一人娘、エル・ノクターナ。
十五歳。
炎を操り、自らを「悪」と名乗る彼女は、ある日突然、父である鬼侯爵エドワードから勘当を言い渡される。
「世界を望むなら、自分の足で立て」
その言葉だけを残して。
忠実すぎる専属侍女イーディスを伴い、エルは馬車一台で世界への旅に出た。
目指すは、悪を極めること。
困っている者を助けるのは善ではない。
魔物を倒すのも正義ではない。
すべては、気まぐれな悪の所業。
……そのはずだった。
魔物に脅かされる村。
病で娘を失った父親。
差別を隠して生きる少女。
旅を続けるたび、エルは知る。
どれほど炎を振るっても、届かない場所があることを。
そして、自分では覚えてもいない小さな言葉が、誰かを救っていることを。
これは、自らを「悪」と信じる少女が、広すぎる世界を旅しながら、自分だけの答えを探していく物語。
「我、エル・ノクターナ。今この瞬間より、悪を極める旅を始める」
その宣言が、本当は何を意味するのか。
彼女自身も、まだ知らない。