あらすじ
高校2年生の神江タイガは、登校中に激しい腹痛に見舞われ、近くにあった公園の公衆トイレに駆け込んだ。
激闘の末、全てを出し尽くしたタイガはトイレを出ようとするが、ある恐ろしいことに気がついてしまう。
紙が、ない––––。
代用品を模索しようにも、鞄は外のベンチに放り投げてしまった。個室の中には枯葉が少々落ちているだけで使えそうなものはない。
まさに一貫の終わり……いや一貫の終しりである。
しかしそんな絶望の最中、どこからともなく重たい囁き声が聞こえてきた。
「汝、ソノ深キ絶望ヲ滅スル代ワリニ、我ト契約ヲ結ブカ……」
怪しげにも程がある言葉を発しているが、タイガは人が来てくれた喜びと安堵ですぐに返事をしてしまう。
「どうでもいいから紙をくれ」
そうタイガが願うと、目の前が一瞬暗闇に包まれ、またすぐに戻った。
何度声をかけても、もうあの声の主が返事をしてくれることはなかった。再び絶望し、顔を伏せたタイガ。
しかしその時、一瞬白い何かが視界の隅をヒラヒラと動いているのが見えた。慌てて視線を移すと、そこにはなんとトイレットペーパーがあった。
先程までくたびれた芯が付いているだけだったペーパーホルダーに、その白い紙はしっかりと巻き付いていた。
無我夢中で紙を使い、無事にトイレから脱出することの出来たタイガ。
あの紙は一体……元々あそこにあったのだろうか。それとも……。
どこか納得がいかなかったが、タイガは特に気にかけることもなく学校へと急いだ。
この時、人類の存亡を賭けた戦いに、巻き込まれていたとも知らずに––––。