あらすじ
――出来損ない、邪魔者、と罵られたことはない。
花御森(はなごもり)の人間は、接触によって異能者の能力を増大させる才があった。
翠葉(すいは)の才は、「柔らかい部分に触れると相手の心を癒せる」というもの。
花御森家にとって最弱の才。
しかし優秀な姉と比較されることはあれど、表で蔑まれることはなかった。家族からの態度もそこまで酷いものではない。
そう信じたかった。
ある日、翠葉のもとに一つの縁談が来る。半ば荷物を片付けられるようにして嫁いだ美世。
初対面の結婚相手は、人当たりの良さで有名な華乃宮(はなのみや)当主――のはずだった。
「本当の夫婦にはならない。だけど、月に一度キスしてね」
世界の不整合さに目を背け続けた少女が、心根の冷えた不器用な男と愛の重さを確かめていく物語。
表紙︰装丁カフェ 様より
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