あらすじ
日本で働いていた三十一歳の佐倉澪は、職場で心をすり減らし、逃げるように異国の街リューベルへ渡った。
けれど、待っていたのは自由ではなく、言葉の壁と孤独な毎日だった。
語学学校へ向かう途中で道に迷い、冬の街角で泣き出してしまった澪が偶然たどり着いたのは、小さな菓子店『ノルトリヒト』。
そこで出会ったのは、口が悪くて無愛想な菓子職人・レオン。
「泣くなら店の裏で泣け。客が驚く」
最悪な第一印象だった。
けれど、彼の焼く菓子の甘さと、不器用な優しさは、壊れかけた澪の心を少しずつほどいていく。
異国の冬。
小さなカフェ。
温かな焼き菓子。
これは、誰かのために生きすぎた女性が、
自分の人生を取り戻していく再生の物語。