あらすじ
旧街道の外れに、1人の老いた食堂主がいた。
名はロアン。
若い頃から、宿屋、軍の炊事場、商隊、屋台、貴族屋敷と、
いくつもの仕事を転々としてきた男だった。
どこへ行っても続かなかった。
正しいと思うことは見えていた。
だが、言い方を間違え、順番を間違え、人の場所を壊してしまう。
そうして歳を取り、最後に残ったのは、
新道の開通で客足を失った旧街道沿いの小さな食堂だけだった。
店を畳もうとした雨の夜、商談に失敗した若い商人セオが、
その食堂の戸を叩く。
ロアンが余り物で作った、名前のない煮込み。
高級な材料ではない。
派手な料理でもない。
けれどそれは、疲れた旅人の腹を温め、
もう少し歩く力をくれる味だった。
続かなかった人生の失敗は、本当に全部無駄だったのか。
旧街道に残る小さな味と、1人の男の物語。
全12話完結予定。