あらすじ
王立学院の中庭で、聖女候補セシリアは婚約者から婚約の白紙を告げられる。
「治癒魔法は有用だ。だが、侯爵家の夫人としては地味すぎる」
そう切り捨てられたセシリアを支えたのは、騎士見習いのカイルだった。
彼は硬い訓練用のパンを半分渡し、セシリアの治癒魔法を「十分すごい」と言ってくれた。
翌日、セシリアはお礼として治癒魔法を込めた弁当をカイルに渡す。
ただのお礼のつもりだった。
だが、その治癒弁当は騎士訓練棟で予想以上の効果を発揮し、グレン教官によって正式に記録されることになる。
地味だと捨てられた治癒魔法は、傷を治すだけではなかった。
怪我を防ぎ、疲労を整え、人を支える力だった。
これは、婚約破棄された聖女候補が、自分の魔法をもう一度信じられるようになる話。
そして、彼女の価値を見誤った元婚約者が、遅すぎる後悔をする話。