あらすじ
夜の帳が降りる頃だけ、その灯りは静かにともる。
商店街の端にある元喫茶店を使った不思議な店――月下堂。
店主である南は、人には見えない呪いと穢れを視る呪禁師。相棒の蒼と共に、SNSや口コミを通じて寄せられる怪異の相談を受け、人知れず人々を呪いから救っている。
失踪事件。
呪われた写真。
廃病院に残された助けを求める声。
人の絶望や執着から生まれた呪いは、時に怪物となり、時に都市伝説として人々を蝕んでいく。
だが、呪いの奥にはいつも誰かの願いがある。
悲しみ。
後悔。
愛情。
そして、どうしても手放せなかった想い。
南と蒼は呪いを祓うだけではなく、その想いと向き合いながら、救われなかった人々の心に触れていく。
月明かりの下で紡がれるのは、怪異との戦いだけではない。
仲間との絆。
かけがえのない日常。
そして、幾度となく死線を越える中で深まっていく二人の想い。
これは――
人の心が生み出した呪いと、
それでも誰かを救おうとする者たちの、
優しくて少し切ない現代幻想譚。