あらすじ
平和は、静かに重くなる。
その重さを抱えながら、
春姫は領地を導こうとしていた。
薬草の残渣、工房の灯り、風の流れ。
若き宗丸とともに、
“理”を形にするための試みが始まる。
風はときに優しく、ときに厳しく、
二人の歩みに新たな道を示していく。
静けさの中に息づく、戦国の産業と心の物語。
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登場人物紹介
【春姫(はるひめ)】
山間の「からくり城」を継いだ女城主。
風の音を聞き分け、
城の仕掛けとともに生きてきた。
戦乱が遠のいた後の“静かな繁栄”の中で、
領地を支えるために理を読み、
風の流れを探し続ける。
責任を背負う強さと、
胸の奥に静かに積もる不安を抱えながら、
新たな産業を興すために歩み続ける。
【宗丸(そうまる)】
春姫より五〜七歳ほど若い近習。
静かで誠実、
春姫の理を深く理解しようと努める若者。
手先の器用さと観察力に優れ、
春姫の示す“理”を形にすることに
喜びを見いだしている。
努力家で、 一度決めたことは夜遅くまで
やり遂げようとする一途さを持つ。
春姫の言葉を何よりの励みとし、
彼女の理を支えることを誇りとしている。
【与平(よへい)】
領内の紙職人。
寡黙で実直、紙漉きの“水の理”を誰よりも知る男。
宗丸に紙漉きの基礎を教えた、
工房の頼れる職人。
【侍女たち】
春姫の身の回りを支える女性たち。
必要以上に踏み込まず、
しかし静かに寄り添う存在。
春姫の疲れや宗丸の変化にいち早く気づく、
影の支え。
【三郎兵衛(さぶろべえ)】
紙商人。
紙の品質と用途に厳しい目を持つ、
実直な商売人。
香り紙に対しても遠慮なく意見を述べる
“現実の声”。
【お紺(おこん)】
旅人向けの雑貨店の女主人。
明るく気さくで、領内の噂に詳しい。
香り紙の“生活者としての視点”を示す存在。