あらすじ
「君より湖畔の幽霊の方がマシだ」――五年間尽くし続けた婚約者・蓮司から告げられたのは、親友との浮気と残酷な婚約破棄だった。自分を殺して相手に合わせ続けた日々。諦めた夢。費やした時間。その全てを「つまらない」の一言で否定された水瀬みおは、祖母の遺した湖畔の古民家へと逃げるように向かう。霧に包まれた神秘的な湖で出会ったのは、記憶を失い、自分が誰かもわからない青年だった。「幽霊かと思った」「君も僕を見て逃げないんだな」――不思議な縁で始まった共同生活。祖母から受け継いだ絵の才能を取り戻していくみおと、少しずつ記憶の欠片を拾い集める青年。やがて明らかになる彼の正体は、失踪したと報じられていた大企業・神崎グループの御曹司だった。一方、みおの才能が世間に認められ始めた頃、都合よく復縁を迫ってくる元婚約者。土下座までしてきても、もう遅い。私はもう、誰かの望む私を演じない。霧の湖が結んだ、傷ついた二人の再生と溺愛の物語。