あらすじ
そこは、世界のどこにも存在しない灰色の部屋。
集まったのは、人間に「季節」と呼ばれている、春夏秋冬の4人。彼らがここに集まる理由はただ一つ――この1年間で、誰が一番人間に愛されたかのマウントを取り合うためだ。
お花見や出会いを提供する春、夏休みやフェスで輝く夏、食欲と文化祭を彩る秋、クリスマスやバレンタインを支配する冬。それぞれが自身のプライドをかけて最高の実績をぶつけ合う。
しかし、話し合いが進むにつれ、彼らの口から漏れ出たのは、人間たちの容赦ない「本音」に対する深い傷心と葛藤だった。
「花粉症や5月病って責められる」「猛暑や熱中症で災害扱いされる」「パッとしない繋ぎの季節って言われる」「風邪を流行らせるなって嫌われる」
人間が大好きだからこそ、その我が儘な言葉に1秒ごとに胸を痛める季節たち。
文句ばかり言う人間に、それでも彼らがバトンを繋ぎ続ける理由とは――。
読んだ後、今目の前にある季節が少しだけ愛おしくなる、等身大のアンソロジー風ファンタジー。