あらすじ
「さようなら」を言えなかった──それが、ニーナの前世最後の後悔だった。
交通事故で命を落とした元事務職のOLは、西洋風の王国ヴィスタリアに男爵令嬢として転生する。与えられた役目は王宮の侍従見習い。身分は低く、味方もいない。ただひとつ、前世で磨いた「誰よりも細部を見る目」だけを武器に、ニーナは宮廷に足を踏み入れる。
初めてできた友人テレーゼが、不審な死を遂げる。宮廷はそれを「事故」と片付けようとした。だが、ニーナの目は見逃さない。崩れた手すりの不自然な傷。直前に届いた差出人不明の手紙。そしてテレーゼが怯えていた、公爵令嬢ドロテアの影。
寡黙な近衛騎士ノエルとともに真相を追うニーナは、やがて王太子アルベルトとドロテアが仕組む巨大な陰謀にたどり着く。信じていた先輩の裏切り、命を懸けて助けてくれた伯爵の死、そして敵だと思っていた男が差し出す決定的な証拠──。
身分も権力も持たない少女が、宮廷を揺るがすすべての嘘を暴く。ニーナが最後の謁見で王太子に告げる言葉とは──。