あらすじ
新聞部には謎が集まる。
そう言うと、
たいていの人は勘違いする。
⸻
盗難事件。
怪盗。
暗号。
密室。
⸻
そんなものを想像するらしい。
けれど実際は違う。
なくなった消しゴム。
誰かの落とし物。
広がった噂。
聞き間違い。
勘違い。
そんなものばかりだ。
それでも本人にとっては大問題だったりする。
だから相談はなくならない。
今日も、明日も。
きっと誰かが部室の扉を叩く。
そして、だいたいの場合謎より先に人がいる。
⸻
困っている人。
悩んでいる人。
勘違いしている人。
誤解されている人。
⸻
だから本当に調べるべきなのは事件じゃない、人だ。
これは、そんな新聞部の一年間の話。
コンコン。
部室の扉を叩く音がした。
「失礼します」
高橋は顔を上げる。
その日。
サッカー部のトロフィーがなくなった。