あらすじ
かつて、この夜には優しさがあった。
横浜を抜け、湾岸線へと合流する緩やかなカーブ。ハルと、最愛の恋人・零(ゼロ)は、互いの愛車の咆哮を重ね合わせ、純粋に最高速の夜を切り裂いていた。
だが、その聖域は突然、汚された。
数字とエゴだけを求め、ルールもリスペクトもない悪質なギャラリー上がりの集団が、零の車を執拗に煽り、追い詰め、事故死させたのだ。
――午前零時。降り始めた雨の中、彼女の時間は止まった。
あれから、ハルの愛車「クリムゾンレッド(S30Z)」は、内装を剥ぎ取った冷徹な「エゴ・マシン」へと変貌した。
時計の針が午前0時を回る時、純粋だったドライブは、血を吐くような復讐のバトルへと反転する。
勝ち負けではない。相手の退路を完全に断ち、恐怖の限界を超えさせて自滅させる――。
法やモラルといった『微罪』を無効にする時速300kmの彼方で、湾岸の死神となったハルの、終わりなき断罪のドライブが幕を開ける。