あらすじ

作品説明 好きすぎて苦しくなったものを沈めると、その執着から抜けられるという「沼抜け」の沼。 市役所職員の凪は、沼の水抜き作業中、幼いころの自分の赤い長靴を見つける。そこから現れたのは、母が凪へ宛てて書き残した手紙だった。 母は娘を捨てたのではない。娘を愛しすぎて壊してしまうことを恐れ、愛そのものを沼へ沈めようとしていた。 「抜ける」とは何か。「好きだった自分」を捨てた人は、どこへ歩いていけばいいのか。 底なしの愛と罪悪感をめぐる、静かな家族の物語。 あらすじ 篠淵沼には、好きすぎて苦しくなったものを沈めると、その「沼」から抜けられるという噂があった。市役所の環境整備課で働く凪は、観光整備のために沼の水抜き作業を担当する。泥の中からは推しグッズや合鍵、結婚指輪など、誰かが手放そうとした思い出が次々と出てくる。 そんな中、凪は子ども用の赤い長靴を見つける。そこには自分の名前が書かれていた。父に問いただすと、母の失踪に関わる秘密が少しずつ浮かび上がる。さらに沼から見つかった菓子缶の中には、母が凪へ宛てた手紙が残されていた。 母は凪を嫌って出ていったのではなかった。娘を愛しすぎるあまり、いつか傷つけてしまうのではないかと恐れ、その苦しさを沼に沈めようとしていた。だが、愛は沈めても消えず、母は最後に沼へ消えた。父はその事実を隠し、凪には「母は遠くへ行った」と嘘をつき続けていた。 真実を知った父は、母を取り戻そうと沼へ入り、凪は父を救い出す。母は戻らない。それでも、沈めたままにしなくていいものがある。凪は引き上げられた落とし物を保管し、持ち主たちに返していく。誰も完全には沼から抜けられない。けれど人は、何かの底に足を取られながらも、片方の靴で歩いていく。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2026/06/07
  • 現在の作品沼抜け