あらすじ
家屋調査士の宗方は、下町の古い木造平屋を訪れた。住人の老人・矢野は怯え、畳の床が融解していくような奇妙な不具合を訴えていた。宗方が台所の床下点検口を開けると、そこには基礎コンクリートではなく、底の知れない漆黒の泥水がなみなみと満ちていた。
矢野を救おうとするも、大地の凄まじい引力に阻まれ、宗方は這う這うの体で脱出する。しかし、変異はすでに下町全体、そして宗方の住むアパートにまで及んでいた。世界からあらゆる「硬さ」が失われ、ぬるい粘土のように融解していく。ハザードマップが突きつける絶望的な真実の中、宗方は逃れられぬ漆黒の泥濘へとゆっくり沈み込んでいく。