あらすじ

普通の紹介文を書こうかとも思ったのですが、やめました。 意味ありげなあらすじを書くよりも、まずはこの作品で何を描きたいのかをお伝えしたほうがいいと思ったからです。そのうえで、読むかどうかは皆さんに判断していただければ十分です。 そもそも、なぜこの物語を書こうと思ったのか。 始まりはとても単純で、「星間時代の人類文明はどんな姿をしているのだろう」と想像してみたかったからです。 星間時代というからには、人類は太陽系の惑星を開拓し、やがて太陽系の外へも進出し、遠い恒星系に新たな居住地を築いているはずです。けれど、そこで必ず突き当たるのが、「どうやってそこまで行くのか」という問題です。ほかの惑星へ行けなければ開拓はできませんし、遠い恒星系へ到達できなければ、そこで新しい文明を築くこともできません。 つまり、人類が本当の意味で星間時代へ進むためには、亜光速航行や超光速航行のような技術が必要になります。 ただ、現実の人類は、まだ核融合発電さえ実用化できていません。亜光速も超光速も、今の私たちから見ればあまりにも遠い話です。 では、その問題をどう解決するのか。 正直なところ、私にも分かりません。私は科学者でも技術者でもないので、その答えを現実の理論として示すことはできません。ただ仕事の合間に、「未来の人類文明はどうなっているのだろう」と考え、その想像を物語にしているだけの人間です。 だから、この作品には強い空想の要素があります。 二十一世紀の科学だけでは届かない場所へ進むために、この物語では「超常」という要素を取り入れました。分かりやすく言えば、魔法のようなものだと思っていただいて構いません。恒星間ゲートも、超光速への可能性も、超越者も、人類が星々へ進んでいくための力です。 ただし、その力を都合のいい奇跡として描くつもりはありませんでした。 超常は希望をもたらします。人類に、これまで届かなかった場所へ進む道を開きます。しかし同時に、災厄ももたらします。誰かを救う力が、別の誰かを傷つけることもある。文明を発展させる力が、戦争や欲望や悲劇を生み出すこともある。 私は、単なる設定集を書きたいわけではありません。 書きたいのは、あくまでも物語です。 物語である以上、事件が必要です。悪役が必要です。対立が必要です。人間の欲望や、社会の変化や、古い価値観との衝突も必要です。だから、この作品における超常は、便利な奇跡ではありません。人類に未来を与える一方で、多くの悲劇や混乱も生み出していきます。 では、その中で誰を中心に描くのか。 この作品の出発点にあるのは、「星間時代の人類文明を想像したい」という思いです。けれど、それは完成された星間文明だけを描きたいという意味ではありません。人類はどうやって超常という未知の要素に出会うのか。なぜ地球の外へ進まなければならなくなるのか。どうやって太陽系の外へ進出し、未知の世界へ挑み、やがて星間時代へ進んでいくのか。 そうした過程も描きたいのです。 つまり、これは一つの時代だけを描く物語ではありません。 二十一世紀のある日から始まり、そこから人類文明が少しずつ別の未来へ進んでいく物語です。場合によっては、数万年、数十万年、あるいはそれ以上の時間をまたぐことになるかもしれません。 では、そんな長い物語をどうやって読者に届けるのか。 時代ごとに主人公を交代させる方法もあります。けれど私は、一人の主人公と、その周囲の人々を軸にして、長い文明の変化を追っていく形のほうが好きです。 だから、この作品の主人公と、彼にとってかけがえのない人々には、死を越えて次の時代へ進む力を与えました。 この力の意味は、単に主人公を強くすることではありません。 主人公たちが死を越え、時代を越え、人類文明とともに歩み続けるための力です。彼らはある時代を見届け、ある時代では事件に巻き込まれ、ある時代では自ら選び、行動し、何かを変えていきます。 もちろん、主人公が持つ力はそれだけではありません。物語が進めば、ほかにもさまざまな力や役割が登場します。ただ、どれほど力を持っていたとしても、主人公一人ですべてを解決する物語にはしたくありません。 彼には、支えてくれる人たちが必要です。ともに歩む仲間が必要です。愛する人がいて、家族がいて、友人がいて、ときには彼を慕い、共に進む人々もいる。彼らが互いに支え合い、成長し、助け合いながら、その時代ごとの事件や悪役と向き合っていく。そんな物語にしたいと思っています。 ここで言う悪役も、単純に一人の悪人や一つの組織だけではありません。 超常によって生まれた化け物かもしれません。新しい力を独占しようとする者かもしれません。社会の変化そのものかもしれません。古い時代にしがみつく勢力かもしれません。あるいは、人類が星々へ進む中で生まれる、避けようのない矛盾かもしれません。 正直に言えば、この物語をどこまでうまく描けるのか、私自身にもまだ分かりません。 それでも、少なくとも今この紹介文を書いている時点では、主人公とその仲間たちが互いに支え合い、できる限り互いを高め合いながら、長い時代を歩んでいく物語を書きたいと本気で思っています。 これは、一人の英雄がすべてを救う物語ではありません。 二十一世紀のある日から始まった異変をきっかけに、超常という希望と災厄を手にした人類が、やがて星々へ向かっていく、ひとつの空想の文明史です。 もし、二十一世紀から始まる、人類文明のひとつの空想的な未来を少しでも覗いてみたいと思っていただけたなら、読んでいただければ嬉しいです。

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カクヨム
カクヨム2026/06/07
  • 現在の作品死んでも終わらない俺は、人類が星々へ向かう時代を歩き続ける