あらすじ
「火を灯すしか能のない《火種》。──ただし、その火は、表面を焦がさない」
辺境の補給村に生まれたレンが鑑定式で授かったのは、最弱と名高いF等級スキル《火種》。戦闘適性なし、火を灯す程度。村人に嘲笑され、素材屋を継ぐしかない「失敗作」と見なされた少年だった。
だが、レンの火は、ほかの誰の火とも違っていた。表面を焦がさず、内側だけに熱を通す。物心ついた頃から当たり前にやってきたその力は、本当は「火を生む」ものではなく、「熱そのものを操る」ものだった。──ただ、レン自身も、村の誰も、それに気づいていなかった。
ある夜、村の誰の手にも負えない"冷めない異常魔核"を、レンは表面ひとつ焦がさず鎮めてみせる。その一部始終を見ていたのは、村へ流れ着いた手負いの男。かつて「風の最弱」と侮られながら、空を裂く高みへ昇りつめた、伝説の冒険者だった。
「その目は、教わって身につくもんじゃない。──王都に出した方がいい」
鑑定の数字は、本質を見ていない。等級ではなく、スキルの"本質"を見抜く者だけが届く場所がある。最弱と笑われた少年は本物に見出され、選ばれし者たちの集う顕能学院の門をくぐる。
ただし、与えられた居場所は、エリートの「本棟」ではなく、落ちこぼれの「外棟」――。
これは、最弱と判定された《火種》が、誰も見ようとしなかった"本質"を武器に、見下す世界を静かに塗り替えていく、成り上がりの物語。