あらすじ
見渡す限り青い花が風に揺れる、フランメリーの丘。かつてその場所で、小さな二人の少女は指を絡ませ、無邪気に笑い合っていた。
「大人になっても、ずーっと一緒!」
その誓いは、甘く穏やかな未来へと続くはずだった。
けれど、あの日――敵国ステラス軍の襲撃によって、すべては燃え盛る炎の中に消え去った。一瞬にして家族を奪われ、世界の理不尽さに泣き叫ぶことしかできなかったあの夜。絶望の底で、ユリアーナの手を強く握り締めたのはスーザンだった。
「ユリアーナ、騎士団に入ろう…?もう、こんな思いをする子供が……いないように」
涙を拭い、復讐ではなく「未来」を見つめるスーザンの瞳には、固い決意の光が宿っていた。
剣術の才能を認められ、アシュトリー王国騎士団へと配属されたユリアーナとスーザン。二人は個性豊かな先輩騎士たちに振り回され、厳しい訓練に汗を流しながらも、持ち前のひたむきさで仲間たちの抱える過去と想いを知る。そうして共に笑い、共に壁を乗り越える中で、団員たちとの間に家族のような固い信頼関係を築いていった。
しかし、そんな穏やかな日常は、敵国ステラス軍との戦いによって一変する。
激化する戦火の中、二人の周囲には少しずつ不穏な影が落ち始める。特にあの子は、何か重大な秘密を一人で抱え込んでいるかのように、時折私から視線を逸らすようになっていった。作戦の直前、遠くを見つめるあの子の横顔はどこか冷徹で、かつて丘で誓い合った無邪気な少女の面影を消し去ろうとしているかのようだった。背中を預け合うはずの二人の間に、目に見えない決定的な亀裂が生まれつつあることを、私はまだ知る由もない。
悲劇はそれだけでは終わらない。やがて訪れる決別の時、彼らの守るべき思いと、自分たちの選んだ道が激しくぶつかり合う。
すれ違う二人の刃が激しい戦場で再び交わるとき、隠された真実と切ない絆の物語が明らかになる――。
すべてを乗り越えた先にある、激動と希望の手記ファンタジー。