あらすじ
二〇二六年六月一日、月曜日。
広島県呉市のシティーホテル最上階。冴子(三十歳)の前に突きつけられたのは、三年付き合った恋人からの、あまりにも身勝手な別れ話だった。
激しい抗議も虚しく、すべてを失って一人這い上がった呉の坂道。
静まり返ったマンションの部屋で、冴子は男のためにずっと封印していた木製のパイプを取り出す。アイルランド製の煙草『スイートダブリン』──ウイスキーの甘く苦い香りが部屋を満たした時、彼女は「誰にも依存しない自分」を取り戻す覚悟を決めた。
その六日後。
見かねた友人に連れられて訪れた保護犬の譲渡会で、冴子は一匹の犬と出会う。
多頭飼育崩壊の地獄から救い出された、推定三歳のレモンホワイトのビーグル。
他の犬たちのように吠えることも、媚びて尻尾を振ることもせず、ただ冷たい床で虚無の瞳を宿らせるその姿に、冴子は「割れ鍋に閉じ蓋」のような強烈なシンパシーを覚える。
「言うことを聞く奴なんて、男だけで懲り懲りだわ」
犬の嗅覚は人間の一億倍。パイプの煙を嫌う犬のために、冴子は夜のベランダでホタルを灯すようにスイートダブリンを燻らせる。
これは、傷ついた一人の女と、心を閉ざした一匹の猟犬が、呉の波音を聞きながら「本当の自由」と「自立」を掴み取るまでの、ビターで愛おしい同居日記。
注:作者は犬を飼ったことがないので妄想だけで執筆しております。ビーグルの習性調査と推敲のみにAIを使用しています