あらすじ
世界には十五の文化圏がある。
王国学術院は、そう定めていた。
王立若手研究官アリアは、城塞都市外の交易路における度量衡の混乱を調査するため、商会の隊商に同行して森へ入る。
しかし、隊商はゴブリンの襲撃を受けて崩壊。汚染された森で孤立した彼女を救ったのは、人間社会が大型害獣と恐れるオークだった。
だが、そのオークの群れは野生の獣ではなかった。
水を煮る。傷病者を分ける。汚れた布を焼く。寝床と排泄の場を分ける。
人間の冒険者たちは散り、オークの群れは統制されていた。
アリアは彼を、十五文化圏の外側に現れた十六番目の秩序として記録する。
暫定呼称――第十六個体。
これは、城壁の外で社会的に死んだ研究官が、王国へ報告できない真実を羊皮紙に記した観測録である。