あらすじ
「君のような田舎臭い女を、この国の王太子妃にはできない」——満場の貴族が見守る夜会で、十五年間婚約者だった王太子ルシアンから突然の婚約破棄を告げられたエリアーナ。彼のために人生の全てを捧げてきた私を『品がない』と切り捨て、新興貴族の令嬢マリアベルを選んだ彼。悔し涙を堪え、完璧な礼で退場した私だったけれど——心はとうに壊れかけていた。傷心のまま辺境の実家へと戻る道中、私は不思議な笛の音を耳にする。その旋律を奏でていたのは、羊飼いの青年カイル。穏やかな瞳と優しい笛の音に、凍りついた心が少しずつ溶けていく。けれど彼には秘密があった。実は彼こそが、この国で失われたとされる古代王家の末裔だったのだ。王宮の権謀術数とは無縁の、草原で羊と暮らす日々。カイルの奏でる笛の音だけが、私の傷ついた魂を癒してくれる。これは、全てを失った令嬢が本当の愛と幸せを見つけるまでの物語。