あらすじ
伯爵令嬢イザベル・アストンは、馬の歩様、蹄、耳、毛艶、鞍の革、厩舎の匂いを愛してやまない馬沼の令嬢。
ある日、実家アストン伯爵家の厩舎前で、婚約者ダリウスから婚約破棄を告げられる。
理由は、イザベルが馬にばかり構い、厩舎臭い女だから。
ダリウスが新しく選んだのは、イザベルの妹クララ。
しかも二人は、イザベルの愛馬である白馬「白星」を婚礼行列に使うつもりで、譲ってほしいと言い出した。
普通なら、婚約者を妹に奪われた姉が泣く場面。
けれどイザベルは、馬を見た。
白星は、静かに耳を伏せていた。
「婚約者はお譲りします。ですが、馬は譲りません。あの子は人を見る目がありますので」
元婚約者が手綱を引いても、白星は動かない。
妹が近づけば、すっと横へ避ける。
イザベルが名を呼ぶと、白星はすぐに歩き出す。
婚約者より馬を優先した令嬢と、馬にも拒否された元婚約者の、馬沼ざまぁ短編。