あらすじ
伯爵令嬢リリアーヌ・グレンヴィルは、野草、茸、苔、木の実、根っこを愛してやまない採集沼の令嬢。
ある雨上がりの朝、実家グレンヴィル伯爵家の応接室で、婚約者フェリクスから婚約破棄を告げられる。
理由は、リリアーヌがドレスの裾を泥で汚して森を歩く、野草と茸ばかりの女だから。
フェリクスが選んだのは、温室の花を愛でる可憐な令嬢セレーネだった。
普通なら泣く場面。
けれどリリアーヌは、別の意味で青ざめた。
「婚約破棄は承りました。では、森へ行ってもよろしいでしょうか。今日は生えますので」
婚約破棄は明日でも思い出せる。
けれど、雨上がりの北斜面に出る幻茸は、今日を逃せば虫に食われる。
森臭いと馬鹿にされた令嬢が、元婚約者より茸を優先した結果、元婚約者の秋の饗宴から“森の香り”が消える、採集沼ざまぁ短編。