あらすじ
類稀なる刺繍と仕立ての才能を持ちながらも、実家と嫁ぎ先で虐げられてきたフィオリータ。彼女の手柄をすべて自分のものにしてきた我儘な姉・エルゼヴィアは、フィオリータの夫・ヴァルデマルを誘惑し、「フィオリータがあなたを騙して財産を盗もうとしている」と虚言を吹き込む。激しい諍いの末、フィオリータは身一つで離縁され、激しい雨の夜に放り出されてしまう。
絶望の淵に立たされた彼女を救ったのは、謎めいた高貴な美貌の男・レオンティウスだった。彼女の施した刺繍の真の価値を見抜いた彼は、フィオリータを自身の邸宅へと迎え入れ、至高の職人として、そして一人の女性として深く溺愛していく。
一方、フィオリータを追い出して後妻の座に収まったエルゼヴィアと、彼女の価値に気づかなかったヴァルデマルは、フィオリータの不在によって家業も領地経営も悲惨なほどに破綻していく。ついに王宮の舞踏会で、二人はフィオリータを連れ戻そうと強硬手段に出るが、そこでレオンティウスの衝撃的な正体と、過去に隠された驚愕の真実が明かされ、姉妹の立場は完全に逆転する。
登場人物
フィオリータ
主人公。控えめで地味に見えるが、内に強い芯と、見る者を魅了する独自の刺繍・仕立ての才能を持つ。
エルゼヴィア
フィオリータの姉。容姿は華やかだが、強欲で虚栄心が強い。妹の努力や成果を奪うことを当然と思っている。
ヴァルデマル
フィオリータの元夫。伯爵。プライドが高く愚か。エルゼヴィアの甘い言葉に騙され、フィオリータを容赦なく切り捨てる。
レオンティウス
フィオリータを救う美貌の男性。圧倒的な威厳を持つが、フィオリータに対しては極めて過保護で深い愛を注ぐ。
ニカノール
ヴァルデマルの忠実な側近。フィオリータが去った後、領地の手配や家計の異常にいち早く気づき、青ざめる。
クロティルデ
レオンティウスの妹。天真爛漫な公爵令嬢。フィオリータの仕立てたドレスに大感激し、彼女の最初の理解者となる。
舞台風景
マルベリー子爵邸の薄暗い裁縫室
フィオリータが昼夜を問わず姉のためのドレスを縫わされていた、陽の当たらない埃っぽい部屋。
ヴァルデマル伯爵邸の薔薇庭園
姉と夫の密会現場であり、フィオリータが激しい罵声を浴びせられ、離縁を突きつけられた因縁の場所。
下町の片隅にある古びた宿の一室
離縁直後、冷たい雨に濡れたフィオリータが絶望の中で身を寄せた、天井の低い寂しい空間。
レオンティウスの白亜の別邸
広大な敷地に美しい庭園が広がり、フィオリータに専用の明るい工房が与えられた、光に満ちた平穏な場所。
王宮のクリスタル大舞踏会
天井から巨大なシャンデリアが輝き、すべての貴族が集まる絢爛豪華な社交の場。クライマックスの断罪劇が繰り広げられる。