あらすじ
物心ついた頃から、久世蓮司の頭の中には二つの声があった。
白は策を読む。
黒は敵を斬る。
白は、嘘、矛盾、視線、地形、人数、退路を冷静に読み解く。
黒は、恐怖を切り離し、危機に反応し、身体を戦闘へ移す。
現代では、その声は病として扱われた。
周囲からは奇妙な男、危うい男、狂人と見られ、蓮司自身も、自分はどこか壊れているのだと思っていた。
だがある時、蓮司は戦国の世へ飛ばされる。
そこは、毛利に滅ぼされた尼子家の旧臣たちが、なお再興を願って抗う乱世。
山中鹿介をはじめとする者たちは、敗北と裏切りの中で、それでも滅びた家を興そうとしていた。
逃げ場のない評定。
仕組まれた裏切り。
迫る毛利の調略。
忠義だけでは勝てない戦場。
現代では忌まれた白と黒の声が、戦国では勝ち筋を示す。
狂人か。
軍師か。
それとも、乱世が求めた異才か。
白き策で敵の嘘を暴き、黒き刃で死地を斬り開く。
これは、壊れた男が尼子再興軍に拾われ、山中鹿介と共に、滅びの道筋そのものを斬り替える物語。