あらすじ
⓵あらすじ
六月の雨の放課後、志乃の靴箱に一通の案内状が入っていた。そこに書かれていたのは、「世界一を目指す部活を作る。欠陥品歓迎」という奇妙な言葉。差出人を探して旧家庭科準備室へ向かった志乃は、同じ案内状を受け取った生徒たちと出会う。
彼らが見つけたのは、古い冊子『今すぐ使える告白セリフ』と、十月末で閉鎖される木造寮・星宿荘の告知だった。恋愛告白の練習から始まった活動は、やがて謝罪、感謝、弱音、決意、別れの言葉を練習する「告白部」へ変わっていく。
母に卵焼きの味を聞けない生徒。礼儀で寂しさを守ってきた生徒。疑うことで期待から逃げてきた生徒。目立たない場所で椅子を並べ続けた生徒。欠けたまま集まった彼らは、星宿荘を守るためだけではなく、言えなかった言葉を誰かへ渡すために文化祭の公開朗読へ向かう。
②登場人物の紹介
志乃
予定表と白いハンカチを持ち歩く女子生徒。物事を手順で整理するのが得意だが、誰かの涙を前にすると、何を言えばいいのか分からなくなる。
賢
相手の言葉を否定せず受け止める男子生徒。努力しても報われなかった過去を抱え、自分の頑張りだけはなかなか認められない。
将也
古い冊子や校史を調べる知識担当。未来の案を語るのは得意だが、現実の痛みから目を逸らしてしまうことがある。
ゆりな
挨拶、封筒の向き、椅子の角度まで整えたがる礼儀の番人。礼儀を守れば、人との関係も壊れないと信じてきた。
歩叶
宣伝と衣装で場を明るくする生徒。派手に振る舞うほど、誰にも見つけてもらえない不安を隠している。
花凜
誰の善意にも裏があると考える疑い担当。案内状の紙質や印刷癖から、十年前の真相へ近づいていく。
勇平
人前に出るのが苦手で、いつも椅子を並べたり湯を沸かしたりしている。最後には、自分も一文だけ読みたいと声に出す。
也実
星宿荘の朝食当番。焦げた卵焼きや温かい味噌汁で、言葉より先に居場所を作っていく。