あらすじ
【女は胸でも尻でもなく脚である】という世界の真理が支配する王都。年に一度の格式高い祭典「春の脚典」では、候補者たちの歩幅、足首、靴音、余韻までもが厳密に採点される。
だが今年、その黒檀の床に現れたのは、脚を持たないひとりのヒロインだった。彼女は歩かず、靴音も鳴らさない。それでも、その沈黙と佇まいは会場すべての視線を奪い、脚を評価するための制度そのものを揺らしていく。
脚が絶対である世界で、脚無しヒロインは成立するのか。審査員たちは彼女を採点できず、最後に下した判定は「評価不能」だった。
それは敗北ではなく、世界の評価軸のほうが足りなかったという証明だった。