あらすじ

「――までお願いします」 とある夜。駅前で一人の男がタクシーに乗り込んだ。ドアが閉まると同時に運転手は短く息を吐き、ハンドルを握った。メーターがカチリと音を立て、車体はぬるりと路面を滑るように動き出した。 男はちらりと運転席を見やった。車内は薄暗く、バックミラー越しに見える運転手の表情はよくわからない。ただ、少なくとも喋り好きなタイプには見えなかった。 男は視線を外し、今度は窓の外に目を向けた。 夜はすっかり更けていた。飲み屋の灯りもほとんど消え、シャッターを下ろした店が軒を連ねている。町全体が眠りに沈んだように静まり返り、信号機の赤や青の光だけがぽつぽつと闇の中に浮かんでいた。

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小説を読もう2026/06/07
  • 現在の作品行き先 :約3500文字 :ホラー :タクシー