あらすじ
航空自衛隊の戦闘機乗り、秋津隼人。
彼の楽しみは、土曜の夜にVR空戦ゲーム《スカイ・レギオン》へログインすることだった。
ゲーム内でのコールサインは《カラス》。
そして、三年間彼を撃墜し続けている宿敵がいる。
白い機体を駆るプレイヤー、《シロサギ》。
撃たれる場所を最初から知っているような機動。
逃げ道を塞ぐような空戦。
腹立たしいほど正確な煽り。
そんな土曜の夜、秋津は現実のスクランブルで日本海上空へ上がる。
目標は、認識信号なし。
所属は不明。
そして管制官は告げる。
「そう記録される」
正規の記録に残らない空。
撃墜しても、存在しなかったことにされる機影。
各国が認めないまま実験機と無人機を送り込む、戦争未満の戦場。
その灰色の空で、秋津はあり得ないものを見る。
現実にいるはずのない、ゲームの宿敵《シロサギ》と同じ機動をする黒い機体を。
これは、戦争を始めないために戦う、存在しない航空部隊の物語。
そして、VR空戦ゲーマーだった男が、現実の空で「記録されない敵」と向き合う物語である。