あらすじ
戦が終わっても、死者だけは帰らなかった。
戦国の世。蓮見朔真は、討たれた者の未練を鎮め、土へ還す「鎮魂火」を持つ若者だった。敵も味方もなく弔うその力は、役に立たない優しさだと笑われる。
だがある夕暮れ、朔真は知る。死者の怨みを束ね、兵器に変える禁術「喰魂旗」を。そして、その先頭に立つのが、かつて同じ火事を生き延びた幼馴染・黒瀬景冬であることを。
「一人を助けて百を落とすくらいなら、最初から百を救えばいい」――痛みも、恐れも、叫びも、すべてを静かに均してしまう「平和」。それに抗えるのは、泥だらけでも人のまま手を伸ばそうとする、朔真の火だけだった。
死者を悼む少年と、生者を斬る幼馴染。
二人が再び出会うとき、あの夜に置き去りにした言葉の続きが始まる。
和風ダークファンタジー、開幕。