あらすじ
ミステリを嗜む高校生、天谷伊吹は静かな場所を欲していた。
それは入学式のすぐ後、クラスメイトとろくに話さず、図書室へ向かうほど。
そこで天谷は、ミステリの棚で、落ち着いた雰囲気を纏う美少女、花宮詩織と出会う。
綿のように軽やかなロングヘア。
何もかも見透かすような琥珀色に瞳はどこか儚くて、美しい。
そして、穏やかで優しい立ち振る舞いから『旧校舎のプリンセス』と呼ばれている。
「……文芸部に、興味ある?」
花宮は、もう使われなくなった旧校舎で唯一活動している文芸部の部長だった。
花宮に誘われ、二人目の文芸部員になった天谷は、花宮の秘密を知り、放課後の文芸部で静かな交流を始める。
趣味の話から始まり、価値観、考え方、感じ方と話題は深くなっていく。
誰よりも繊細で優しい花宮と、心の深い部分で繋がりあう。
それはどうにも居心地が良い。
だから、俺が先輩に恋心を抱くのは、小説のストーリーのように決まっていたことなのかもしれない。
ただし、先輩の秘密とは、静謐な文芸部にとって平穏をおびやかすようなもので──
「ちょっと、身体が熱くなってきたかも……」
「窓開けますか?」
「その……そういう身体の熱さじゃなくて……」
「──ん? あ」
これは、誰よりも繊細で優しい先輩と送る、文芸部の日常。
もとい、好意がバレバレなラブコメディ。