あらすじ
大学院へ進学した兵藤和樹は、若くして准教授となった鈴木の研究室に所属していた。
鈴木研究室のテーマは「人と人とのつながり」。SNSやコミュニティ形成を情報工学の視点から研究する、当時としては先進的な研究室だった。
ある日、他研究室の女子学生・佐伯が研究室を訪れる。
「高橋先輩を探してほしいんです」
失踪したのは修士二年の学生、高橋祐介。卒業を目前に控え、研究も就職も順調だった彼は、ある日突然姿を消した。しかし奇妙なことに、失踪後も彼のmixiやメールアカウントは活動を続けていた。
警察は家出と判断し、周囲もいずれ戻るだろうと考えていた。だが佐伯だけは確信していた。
「これは高橋先輩じゃない」
兵藤は鈴木の助言のもと、高橋のネット上の足跡を調べ始める。メール、掲示板、SNS、研究発表資料――。人間関係のネットワークを分析するうちに、失踪直前の高橋が、ある教授の過去の論文を執拗に調査していたことが判明する。
やがて兵藤たちは、その教授が長年隠し続けてきた研究不正の存在にたどり着く。
なぜ高橋は姿を消したのか。
なぜ失踪後もネット上で活動を続けていたのか。
そして、人と人とのつながりを研究する彼らが最後に知る「人間の本当の姿」とは――。
2005年、SNS黎明期の大学を舞台に描く、情報科学ミステリー