あらすじ
異世界に召喚された勇者たちは、神から与えられた“無制限の力”によって世界を救い始める。
無から物質を生み出す創造魔法。
尽きることのない無限の魔力。
それらは飢餓を消し、戦争を終わらせ、人々にかつてない繁栄をもたらした。
だが――その力は、世界の前提を壊していた。
質量は増え続け、星の重力は歪む。
放出され続ける魔力は循環を破壊し、大地を汚染する。
自然は崩れ、生態系は崩壊し、魔物は「発生する災害」へと変質する。
それでも勇者たちは止まらない。
彼らに悪意はなく、ただ人を救うために力を使い続ける。
しかしその善意こそが、破滅を加速させていた。
やがて人々は気づく。
勇者とは救世主ではなく、
世界の均衡を崩す“例外”そのものだったと。
無限とは、本来世界に存在してはならない概念。
制限のない力は、循環を断ち、環境そのものを書き換えていく。
そして最後には――
勇者自身が、災害となる。
星を潰す重さとなり、
魔物を生み出す源となり、
世界最大の“ダンジョン”として存在することになる。
それはもはや個人ではない。
「存在そのものが世界を壊す現象」である。
こうして世界は理解する。
奇跡とは救いではない。
制約なき力とは、ただの破壊であると。