あらすじ

明治三十年代、盛岡中学の校庭に、後の昭和を動かす少年たちが集まっていた。 総理大臣になった者、陸軍大臣になった者、海軍大臣になった者、衆議院議長になった者、駐米大使になった者、鉄と重工業で日本を動かした者、言論の場に立ち続けた者、消えゆく言葉を記録した者——その一つの校舎が、同じ時代の政・陸・海・外交・実業・言論・学のそれぞれの極に人間を送り出した。 そして、同じ校庭に、一人の歌人がいた。石川啄木である。 啄木は明治四十五年、二十六歳で死んだ。戦争を知らないまま逝った。 しかし彼の言葉は残った。夜の甲板で口ずさんだ者がいた。言論統制の机で思い出した者がいた。消えかかる言語を記録しながら、啄木もそうしていたと気づいた者がいた。 戦争を始めた者も終わらせた者も、岩手山から吹き下ろす颪を知っていた。

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カクヨム
カクヨム2026/06/06
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