あらすじ
伯爵令嬢マリエル・ブランシェットは、パン種、チーズ、果実酒、酢、保存瓶を愛してやまない発酵沼の令嬢。
婚約者ルシアンの実家、ヴァロワ侯爵家の小食堂で、彼女は突然婚約破棄を告げられる。
理由は、マリエルが地下蔵にこもってばかりで、カビ臭い女だから。
ルシアンが選んだのは、花の香りをまとった美しい令嬢エレーヌだった。
普通なら泣く場面。
けれどマリエルは、別の意味で青ざめた。
「分かりました。では、うちの三代目酵母を起こします。急な移動に弱いので」
恋は冷めても、酵母は冷やしてはいけない。
婚約破棄は承った。
だが、祖母から受け継いだパン種と、熟成中のチーズと、果実酒の樽は置いていかない。
カビ臭いと馬鹿にされた令嬢が、婚約者より酵母を優先した結果、元婚約者の家の収穫祭から“あの味”が消える、発酵沼ざまぁ短編。