あらすじ
「自分には、本物の天才(主人公)のような才能はない」
そう悟り、世界初のS級ダンジョン攻略の一歩手前で引退した、元トップ探索者の男・御剣 怜治(みつるぎ れいじ)。
40歳になった彼は、一線から退き、低ランクダンジョンしかない片田舎の一軒家で、心静かに引きこもり生活を送っていた。
彼が毎日欠かさないのは、20年間ただひたすらに繰り返してきた、魔術の「基礎の壁打ち(ルーティン)」。
ある日、怜治は実家から「無能」と見捨てられ、生きる希望を失っていた不遇の少女・更科 紡(さらしな つむぎ)と出会う。
生活費稼ぎと、ほんの少しの気まぐれから、怜治は彼女に「俺の知っている基礎の基礎」を教えることにした。
怜治「魔術なんて、無駄を省いて淡々とやれば誰でもできる」
しかし、怜治の「基礎」は、20年間の狂気的な反復によって、神の領域(ロストテクノロジー)まで研ぎ澄まされた、現代魔術を遥かに超越するものだった。
それを知らずにすくすくと育った紡は、ある日、自分の成長を記録するためにダンジョン配信を始めてしまう。
「え、この子の詠唱、世界最速じゃね……?」
「待って、基礎魔法でボスが消し飛んだんだけど!?」
世界ランク1位へと駆け上がっていく教え子の配信の向こうで、現代魔術界が大パニックに陥っているとも知らず、おじさんは今日も「早く終わらせて寝よう」と、シンプルに、合理的に、圧倒的な無双を無自覚に垂れ流す――。