あらすじ
1995年1月17日。
20歳の誕生日に、宮本達也は阪神淡路大震災で家族を失った。
父も、母も、妹も、家も、父が営んでいた小さな不動産屋も、すべてがあの朝に消えた。
それから30年以上。
達也は神戸と阪神間の不動産管理の現場で、住む場所を失った人、復興から取り残された人、弱った者につけ込む業者たちを見続けてきた。
2026年。
51歳になった達也は、解体前の古い空き部屋で鍵束を握りしめ、限界を迎える。
次に目を覚ました時、そこは1995年1月16日の夜だった。
家族はまだ生きている。
父の店には、古い管理台帳と鍵束がある。
そして翌朝、神戸を大地震が襲う。
地震そのものは止められない。
けれど、開けられる部屋がある。
逃がせる人がいる。
守れる鍵がある。
これは、家族を失った51歳の男が、不動産屋の息子として震災前夜の神戸に戻り、鍵束と台帳で命と住まいをつなぎ直す物語。