あらすじ
舞台は、星の数ほどの物語が生まれ消えていく巨大な知識の殿堂「カクヨム大図書館」。
物語創世学部のウィリアムズ教授は、若き魔法使い(創作者)たちに『ラベル魔法』の威力を説いていた。
『追放』『悪役令嬢』『無双』『ざまぁ』――。
それは、対象にペタリと貼るだけでキャラクターの過去から未来までを決定づけ、読者の感情を思い通りにコントロールできる最強の魔法。情報過多の海において、読者の目を引くための必須技術だった。
しかし、一人の真面目な少女・エルナがその教えに異議を唱える。
「ラベルでキャラクターを縛ることは、現代社会における偏見や差別と同じではないか?」
複雑で多面的な一人の人間を、わかりやすい「属性」や「記号」の枠に押し込め、消費することは暴力ではないのか。しかし、ラベルを貼らなければ誰にも読まれないという非情な現実が、彼女の前に立ちはだかる。
読者の求める「テンプレ」にどこまで寄り添うべきか。
記号化された世界で、どうすればキャラクターに「本物の魂」を宿すことができるのか。
Web小説の最前線で誰もが直面する「テンプレと多様性」のジレンマを、ファンタジー世界に仮託して鋭く、そして温かく描き出す物語風・創作論。
何かを書きたいと願う人。そして、物語を愛するすべての人へ。
偏見と差別の世界に抗うための、特別な魔法学の講義が今、始まります。