あらすじ

「もうすぐ春ですね、ちょっと気取ってみませんか」――キャンディーズのヒット曲『春一番』 舞台は1981年2月。七つ森中学校の小さな放送室に集まるのは、卒業を間近に控えた4人の三年生だ。 過酷な高校受験を前に、それぞれが焦りや不安を抱える中、校内放送のインタビューのために前生徒会長が放送室を訪れる。推薦で名門高校への進学を決めている彼女の登場は、少女たちの間に渦巻く複雑な思いを浮かび上がらせていく。ただ、眩しく見える生徒会長自身もまた、表には出せない深い悩みを抱えていた。 『春一番』で描かれるのは、きれいごとの友情ドラマではない。学校の放送室という限られた空間の中で、きれいごとと泥臭い本音と思惑がぶつかり合う。そんなヒリヒリとした痛みとともに本音の先に吹き抜ける、爽やかな風を感じさせる「青春群像」だ。 卒業式の前日から当日、そして翌日へ――。放課後の放送室を舞台に激しく揺れ動く彼女たちを繋ぎ止めたのは、カセットテープに託された切実な『脅迫』、そして20年後の21世紀という未来へ宛てた「タイムカプセル」だった。 1981年というレトロな時代背景でありながら、現代を生きる私たちの心にも確実に繋がる、剥き出しの人間ドラマ。『春一番』は不器用な15歳たちが、強く激しい、しかし確かなあたたかさをはらんだ風――『春一番』に向かって歩み出すまでの物語だ。

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エブリスタ2026/06/05
  • 現在の作品春一番