あらすじ
――身体が半分、金魚になって崩れていく。
繰り返し見る悪夢の中で、汐里の半身・双子の弟、翔琉が消えていくように感じられた。
あるとき、黒い着物を羽織った青年が現れる。
青年は、空飛ぶ金魚を連れていた。
得体のしれない金魚は、汐里の中へ消えてしまう。
金魚との出会いを境に、汐里は渦に巻き込まれていった。
前触れもなく、二匹の金魚がやって来る。
同時に、翔琉は原因不明の体調不良で倒れてしまった。
汐里は金魚に原因があると考え、黒い着物の青年と対面する。
青年は、なぜか「中三の3月27日」にこだわっていた。
そして汐里は、自宅で『月島優斗』のお薬手帳を発見する。
弟とも父とも違う名前の手帳――最後の使用日は、中三の3月27日だった。
そこで初めて、汐里は気づく。
中三の卒業式前後だけ、記憶がない。
忘れていることすら、気づいていなかった。
家族も、中学の友だちも、皆がなにかを隠している。
『優斗』は一体誰なのか、なぜ過去を忘れてしまったのか。
空を飛ぶ金魚の導きで、汐里は真実に辿り着く。
そして汐里は、もう一度、最愛の弟を弔う決意をする。