あらすじ
無断欠勤を繰り返す、精神的に不安定な相談員。
独り言を繰り返し、誰もいない場所へ怒鳴り、時には「死ね」と叫ぶ。
精神障害を抱えながら病院で働く主人公は、そんな彼を嫌悪しながらも、どこかで恐れていた。
——自分も、同じ側へ堕ちるのではないかと。
六月。
湿気を孕んだ病院には、死の気配が沈殿している。
地下通路。
使われていない病室。
夕方になると獣臭くなるトイレ。
そして、誰もいないはずの場所から聞こえる声。
怪談作家を目指しながら、霊感のない主人公。
だが、壊れた相談員だけは“何か”を見ているようだった。
雨が続くたび、現実と幻覚の境界が滲み始める。
これは怪異なのか。
それとも、精神が壊れていく音なのか。