あらすじ
瀬戸内海に面した神戸の街。
異国情緒あふれるその街に、とある高校があった。
年齢制限なし。くるのは水曜と木曜だけ。
私立黎明学園。定時制高校である。
奈良の山奥から西宮へ引っ越してきた鈴木すず。
学校は高層ビルの二十五階。
教室の窓からは神戸の海が見え、机の上にはスタバやドトールのカップが並び、作業着のまま眠る二十歳の同級生や、韓国アイドルみたいに美しい女の子、ピアスだらけの不思議な美形男子がいる。
普通の高校生活から外れてしまったと思っていたすずは、そこで、名前に複雑な思いを持つ白リョンファ、土木現場で働きながら高校卒業を目指す松本陸、そして尼崎の武庫川沿いに住む少年・西倉天馬と出会う。
父の裏切りで家族を失いかけたすず。
自分の名前とルーツをうまく説明できない天馬。
強がりながら弟を守ろうとするリョンファ。
大学へ行かない人生を自分で選ぼうとする陸。
水曜と木曜の午後だけ高校生になる彼らは、三宮、須磨、武庫川、信貴山をめぐりながら、少しずつ自分の居場所を見つけていく。
母の病気、友人の危機、進路の分かれ道。
そして、武庫川の帰り道で育っていく、すずと天馬の初恋。
これは、「普通」からこぼれたと思っていた少女が、神戸の海の見える教室で出会った仲間たちと、もう一度、自分の未来を選び直す物語。